インプラントは安全性の高い治療ですが、リスクもゼロではありません
インプラント治療は、見た目の自然さ・噛む力の回復・長期的な安定性といった多くのメリットを持ち、現代の歯科医療において非常に信頼性の高い治療法として知られています。しかし、外科的処置を伴うため、一定のリスクや副作用が存在します。
このページでは、インプラント治療の代表的なリスクとその対策について、わかりやすく解説いたします。
インプラント治療における主なリスク・副作用
1. 術後の腫れ・痛み・内出血
インプラント埋入手術後、一時的に腫れ・痛み・内出血が生じることがあります。これは生体反応の一種であり、多くの場合は数日から1週間ほどで軽快します。必要に応じて鎮痛剤や抗生物質を処方し、術後の過ごし方も丁寧にご案内いたします。
2. インプラント周囲炎(感染リスク)
インプラントは虫歯にはなりませんが、歯周病に似た「インプラント周囲炎」にかかる可能性があります。プラークや歯石が蓄積することで周囲の歯ぐきが炎症を起こし、放置するとインプラントの脱落につながる恐れもあります。定期的なメンテナンスと適切なセルフケアで十分に予防できます。
3. 骨との結合不良(オッセオインテグレーションの失敗)
インプラント体が顎の骨としっかり結合しないケースがごく稀にあります。このような場合はインプラントを除去し、骨の治癒を待ってから再埋入することで、成功する可能性が高まります。喫煙・糖尿病・骨粗鬆症などが関与するため、術前の全身管理が重要です。
4. 神経損傷・知覚異常
下顎の奥歯付近には「下歯槽神経」が走行しており、これを損傷するとしびれや違和感が残る可能性があります。CTで神経の正確な位置を把握し、サージカルガイドを使って安全な深さに埋入することで、リスクを大幅に軽減できます。
5. 上顎洞の穿孔(サイナスリフトに伴うリスク)
上顎奥歯にインプラントを埋入する際、骨の厚みが不足している場合には「サイナスリフト」や「ソケットリフト」といった骨造成が必要です。その際に上顎洞粘膜を穿孔するリスクがありますが、熟練した術者が適切に処置することで多くは問題なく治癒します。
6. 噛み合わせの不調・違和感
インプラント治療後に、咬合のバランスが変化し、一時的に違和感や咀嚼時の力の偏りを感じることがあります。当院では術後も噛み合わせの調整を継続的に行い、快適な状態に整えてまいります。
7. 金属アレルギー(ごくまれに)
インプラントは基本的にチタン製で、アレルギー反応を起こしにくい素材とされています。ただし、金属に対して過敏な方やご心配な方には、事前のアレルギーテストや、チタンフリーのジルコニアインプラントの選択肢をご提案いたします。
当院で行っているリスク軽減の取り組み
1. CT・ガイドシステムを活用した事前診査
術前に必ず歯科用CT撮影を行い、骨の厚み・神経や血管の位置を立体的に確認。さらに、コンピューターで設計した「サージカルガイド」を用いて、正確かつ安全な位置にインプラントを埋入します。
2. 術中のマイクロスコープ使用
手術中にはマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用し、肉眼では見えにくい組織や構造を正確に把握しながら処置します。これにより、神経損傷や穿孔のリスクをさらに抑えることができます。
3. 静脈内鎮静法による無痛・安心の手術
「歯科の手術が怖い」「緊張しやすい」という方のために、当院では静脈内鎮静法に対応しています。点滴によりリラックスした状態で治療を受けられ、治療中の記憶がほとんど残らないケースもあります。
4. 術後フォローとアフターケアの徹底
術後の腫れ・痛み・感染予防のための薬剤処方、生活指導を丁寧に行います。また、インプラントの長期安定には、3〜6ヶ月ごとの定期メンテナンスが不可欠です。当院では、専属の歯科衛生士がケアとサポートを継続的に行っています。
患者さまへのお願い ~ 治療の成功にはご協力も大切です
インプラント治療は歯科医師の技術だけでなく、患者さまのご協力も不可欠です。以下の点をご理解ください。
- 喫煙はインプラントの結合率や周囲炎のリスクを下げます。治療中の禁煙をおすすめします。
- 糖尿病や高血圧などの全身疾患がある場合は、内科と連携して治療を進めます。
- 術後は指示された通院・ホームケアを必ず守っていただくことで、長期安定性が得られます。
正しい理解と安全対策で、安心して受けられる治療へ
インプラント治療には確かにリスクや副作用が存在しますが、現代の技術と適切な診査・対応によって、十分に回避または軽減することが可能です。当院では、すべての患者さまに正しい情報を丁寧にご説明し、ご納得いただいたうえで治療を進めております。
不安なことやご質問があれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。「安心できるインプラント治療」を目指して、私たちが全力でサポートいたします。