インプラント治療後の生活が、長持ちのカギを握る
インプラントは、虫歯にはなりません。しかし、インプラント周囲の歯ぐきや骨が炎症を起こす「インプラント周囲炎」は、天然歯以上に注意が必要です。
つまり、インプラントの成功は“手術の出来”だけでなく、“その後の生活習慣”にかかっているのです。
このページでは、インプラント治療後の生活における注意点を、時系列・習慣別に詳しくご紹介します。
【治療直後】インプラント手術当日の注意点
1. 強くうがいをしない
インプラント手術後、血のかたまり(血餅)が傷を保護しています。
強くうがいをするとこの血餅が流れてしまい、治癒が遅れたり、感染リスクが高まります。
2. 飲酒・喫煙は厳禁
手術後の2〜3日は特に、血流が不安定になりやすく、出血・腫れ・痛みの悪化を招くおそれがあります。
また、喫煙はインプラントの成功率を下げることが科学的にも証明されており、特に骨と結合するまでの期間(3〜6ヶ月)は禁煙が強く推奨されます。
3. 激しい運動や長風呂を控える
血流が促進されすぎると、出血が止まらなかったり、腫れが増すことがあります。
安静が第一ですので、当日〜翌日は無理せずゆっくり休養してください。
【治癒期間中】インプラントと骨が結合するまでの注意点
1. 指で触れない・舌で押さない
違和感があっても、舌や指でインプラント部分を触るのはNGです。
微細な刺激でも結合不良の原因になることがあります。
2. 硬い食べ物は反対側で
埋入部位には一定期間、荷重をかけないことが重要です。
硬いもの・粘着性の高い食べ物は反対側で噛むようにしましょう。
3. 指示された投薬・消毒・通院を厳守
医師の指示に従った抗生物質や消毒処置の継続が、感染予防・合併症の予防に不可欠です。
痛みがなくても指定された通院スケジュールは必ず守るようにしましょう。
【治癒後・補綴完了後】インプラント使用開始後の注意点
1. 毎日のセルフケアを丁寧に
インプラントは人工物のため虫歯にはなりませんが、周囲の歯ぐきは天然歯と同じように炎症リスクがあります。
特に歯ぐきとの境目はプラークがたまりやすく、周囲炎の原因になります。
柔らかめの歯ブラシを使用し、必要に応じてフロス・歯間ブラシ・タフトブラシなども併用します。
2. 毎食後のブラッシングを徹底
夜だけでなく毎食後の歯磨きを意識しましょう。
当院では、インプラント患者様向けの歯磨き指導も行っております。
3. 過度な力をかけないように
天然歯とは違い、インプラントには歯根膜がないため、強い衝撃や力を吸収できません。
食いしばり・歯ぎしりが強い方には、ナイトガード(マウスピース)をお勧めすることがあります。
4. 定期検診・メンテナンスは絶対に欠かさない
インプラント治療後は3〜6か月ごとの定期メンテナンスが必要です。
専用の器具でクリーニング・咬合調整・動揺確認を行い、インプラント周囲炎や構造劣化の兆候を早期発見します。
インプラント治療後の生活Q&A
Q. 喫煙をやめないとダメですか?
インプラント治療の成功率は喫煙によって大きく下がることが多数の論文で示されています。
可能であれば禁煙、少なくとも埋入から骨結合までの期間(3〜6か月)は禁煙をお願いしています。
Q. 運動や仕事への復帰はいつから?
軽作業やデスクワークであれば手術翌日から可能ですが、重労働やスポーツは2〜3日間の安静が望ましいです。
特に出血傾向のある方は無理をしないようにしましょう。
Q. 食事はいつからできますか?
手術直後は、麻酔が切れるまで飲食を控えるようにしてください。
その後は、柔らかくて常温のものからゆっくり再開し、刺激物や硬い物は数日間控えましょう。
日々の積み重ねがインプラントの未来を決める
インプラントは、天然歯にもっとも近い人工歯として高く評価されています。しかし、その性能を十分に発揮し、10年、20年と維持していくには「治療後の生活」が極めて重要です。
当院では、インプラント治療後も患者様と寄り添い、生活習慣・セルフケア・通院管理の三本柱で、あなたの大切なインプラントをサポートします。
ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。私たちは治療後こそ、本当のサポートが始まると考えています。